建設業許可を取得した事業者に与えられる「建設業許可番号」。この番号にはどのような意味があるのでしょうか。
この記事では建設業許可番号の読み方と意味、取得方法や取得のメリットについて説明します。
建設業許可番号とは、建設業許可を取得した事業者に割り当てられる記号・番号のことです。建設業許可番号にはいくつかのパターンがあります。
例1:国土交通大臣 許可(搬−◯◯)第◯◯◯◯◯◯号
例2:東京都知事 許可(特−◯◯)第◯◯◯◯◯◯号
建設業許可番号は事業者がどのような種類の建設業許可を取得しているかを表していて、読み方を知っていれば、自社が(もしくは他社が)どのような許可を取得しているかをひと目で把握することが可能です。
それでは建設業許可番号の読み方(記号・番号の意味)について、詳しく見ていきましょう。
建設業許可番号の冒頭は、次の2パターンのいずれかで始まります。
建設業許可には国土交通大臣による許可と都道府県知事による許可の2種類があり、上記の建設業許可番号(の冒頭)は、そのいずれであるかを示すものです。
国土交通大臣許可と都道府県知事許可は「営業所の所在地」によって区別されます。
許可の種類 | 要件 | 許可行政庁 |
---|---|---|
国土交通大臣許可 | 建設工事に関わる営業所(本店や支店など)が複数あって、それらが複数の都道府県に所在している場合 | 北海道開発局地方整備局沖縄総合事務局 |
知事許可 | 建設工事に関わる営業所がひとつしかないか、複数あってもすべて単一の都道府県に所在している場合 | 都道府県知事 |
なお営業範囲が全国に及ぶ事業者でも、営業所がひとつの都道府県に収まっているなら「知事許可」です。
国土交通大臣もしくは都道府県知事許可に続いて、「般」か「特」のどちらかが記載されます。これは建設業許可が「一般建設業」か「特定建設業」かを示すものです。
「一般建設業」と「特定建設業」は、一定金額以上の下請契約を結ぶかどうかによって区別されます。
許可の種類 | 要件 |
---|---|
一般建設業 | 下記以外の建設業者 |
特定建設業 | 発注者から直接請け負う工事1件につき、4,000万円(建築工事業の場合は6,000万円)以上の「下請契約」を結ぶ建設業者 |
ポイントとなるのは「下請契約」の有無で、たとえば発注者からどれだけ高額な工事を請け負うとしても、下請契約を結ばなかったり、ほとんどの工事を自分で行う場合(下請契約の金額が低い場合)は「一般建設業」許可です。
関連記事『特定建設業とはどのような業種?一般建設業との違いと許可要件について解説』
「般」や「特」の後ろにはハイフンが続き、一桁もしくは二桁の数字が記載されます。この数字は「許可年度」です。
たとえば平成20年に許可を取得すれば「般−20」もしくは「特−20」、令和4年の許可なら「般−4」もしくは「特−4」といった具合になります。
許可年度の数字は建設業許可を取得し直すたびに変わります。建設業許可の有効期限は5年間ですから、少なくとも現在の年度(和暦)より6年以上古い番号であれば許可が更新されていない、つまり許可が失効しているということです。
関連記事『建設業許可の有効期限とは?更新手続についても解説』
年度を表す数字の後ろには「第◯◯◯◯◯◯号」という6桁の番号が続きます。これは許可を受けた事業者ごとに割り振られる番号で、同じ番号が複数の事業者に与えられることはありません。
また逆に、1つの事業者が都道府県知事許可から国土交通大臣許可に変わった場合や、一般建設業と特定建設業の両方を取得した場合でも、この事業者ごとの番号が変わることはありません。
ここまでの情報をまとめると、建設業許可番号からは以下の情報を知ることができます。
一方、建設業許可番号では許可を受けた「工事の種類」を知ることはできません。
建設業許可は2種類の一式工事と27種類の専門工事(計29種類)に分けられ、事業者は自社が行う工事に合わせてそれぞれの許可を取得します。建設業許可番号の中には、これらの種類を表す記号・番号は含まれていません。
関連記事『建設業許可の29種類とは?具体事例とともにわかりやすく解説』
建設業許可番号を取得するには、建設業許可の取得が必要です。ここでは建設業許可の取得方法について簡単に説明します。より詳しく知りたい方は『建設業許可とは?取得要件や種類、申請の流れなどを解説します』をお読みください。
建設業許可を受けるには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
5つの要件すべてを満たしていることをチェックしたら、申請書の作成・提出です。必要な書類は「法人か個人か」「どの種類の許可を受けるか」などによって変わります。
いずれの場合も膨大な量の書類が必要になるため、提出する際は不足がないかどうか、間違った書類を用意していないかどうかしっかり確認することが重要です。
必要な要件を満たしていて、書類に不備がなければ、申請書の提出から「1〜3か月程度」で許可が下ります。ただし申請が集中すると審査期間がこれ以上になることもあるため、あらかじめ許可行政庁に混雑状況を確認しておくとよいでしょう。
建設業許可を取得するための費用には、申請時の「法定手数料」と、申請書類に添付する証明書(登記事項証明書など)を取得する際の「実費」が含まれます。ちなみに法定手数料は以下の通りです。
許可の種類 | 一般建設業か特定建設業の一方を取得 | 一般建設業と特定建設業を両方を取得 |
---|---|---|
国土交通大臣許可 | 15万円 | 30万円 |
知事許可 | 9万円 | 18万円 |
加えて、申請手続きを行政書士に依頼する場合は行政書士への報酬も発生します(平均的な報酬額は、大臣許可で20万円前後、知事許可で10万円前後です)。
建設業許可番号は建設業許可証に記載されるほか、国土交通省ホームページの『建設業者・宅建業者等企業情報検索システム』から検索できます。
<「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」のトップ画面>
「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」では、建設事業者の名称や所在地、業種などの条件を入力することで該当する事業者を検索できます。条件の入力項目はたくさんありますが、一部分(たとえば「都道府県」)だけでも検索が可能です。
建設業許可番号を取得することは「建設業許可を受けている」ことの証明です。つまり、建設業許可番号を取得する(建設業許可を受ける)ことで以下のようなメリットが発生します。
「1件あたりの請負工事の金額が500万円以上(建築一式工事については1件あたりの金額が1500万円以上)」の工事を請け負う事業者は建設業許可が必要です。
言い換えると、建設業許可を受けることで規模の大きな工事を請け負えるようになります。
関連記事『500万円未満の工事は建設業許可が不要?「軽微な建設工事」の判断基準と注意点について解説』
建設業許可は公共工事の入札参加条件です。このため建設業許可番号があれば、一般競争入札や指名競争入札などに参加して、公共工事を受注できる可能性があります。
建設業許可を受けるには「5つの要件」すべてを満たさなくてはなりません。つまり建設業許可番号を取得していることで、一定基準をクリアしていることを公に証明できるのです。これは社会的信用となり、結果として受注機会の拡大にもつながります。
建設業許可を取得した事業者に与えられる建設業許可番号には「さまざまな情報」が含まれています。許可を受けた事業者はこの記事を参考にして、ぜひ建設業許可番号をビジネスチャンスにつなげてみてください。