建設業許可の申請ではさまざまな書類が必要になります。また新規作成と更新では必要な書類が一部異なるため、申請の際は十分に注意しなくてはなりません。
この記事では建設業許可更新申請の期限と要件、そして必要書類について解説します。
建設業許可には有効期間があります。このため建設業を継続する場合は、有効期間が経過する前に建設業許可の更新手続きを行う必要があります。
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建設業許可の有効期間は「5年」です。引き続き建設業を行う事業者は、新規で許可を取得した日、もしくは前回の更新日から5年以内に許可の更新を行わなくてはなりません。
ここで注意してほしいのが、建設業許可の更新には「更新期限」と「申請期限」があるという点です。
更新期限とは有効期間が満了するまでの間、つまり前回の許可日から5年以内で、これを過ぎると建設業許可は効力を失ってしまいます。更新期限ぎりぎりに更新申請をすると、許可の有効期間内に審査が間に合わず建設業許可が失効してしまう可能性があるため注意が必要です。
申請期限とは更新手続の受付期間として指定された期間のことで、具体的には有効期間(更新期限)が満了する日の3か月前から30日前までの間を指します。この期間内に申請を行った場合、仮に許可の有効期期間に審査が間に合わなくても「継続審査」となり、建設業許可が失効することはありません。
申請期限が過ぎても更新期限までの間は更新申請できますが、「短期間でも許可を失効させたくない」場合は余裕を持った申請を心がけるようにしましょう。
建設業許可の更新には「4つの要件」が必要です。
建設業の事業者には毎年1回、決算変更届(営業報告)の提出が義務付けられています。仮に提出を怠っていた場合は更新申請が認められないため、毎年必ず提出しておくようにしましょう。
建設業許可ではいくつかの事項が「重要事項」に指定されており、もし変更があった場合は決められた期間内に変更届を提出しなければなりません。
まず「変更から30日以内」に変更届を提出するのは以下の事項です。
次に「変更から2週間以内」に提出が必要なのは以下の事項です。
そして「(変更をした)事業年度終了から4か月以内」に変更届を提出するのは以下の事項です。
「経営業務の管理責任者」および「専任技術者」がそれぞれ常勤として設置されていることが建設業許可の重要な要件です。もしどちらか(もしくは両方)が欠けているなら、要件を満たすまで更新は認められません。
事業者が法人なら、すべての従業員を健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険に加入させておく必要があります。
有効期限が満了すると建設業許可は失効します。いったん失効した許可を「更新」することはできません。もし引き続き建設業を行うのであれば、あらためて建設業許可の新規申請が必要です。
ちなみに許可が失効している期間中は500万円以上の建設工事を請け負うことはできません。
有効期限の一本化とは、許可を受けている業種ごとの有効期間を統一することです。たとえば複数の建設業許可を受けている場合、それぞれの許可年月日が異なると有効期間も異なります。
それぞれの申請期限ごとに更新手続をしていては手間が煩雑になりますし、必要書類や法定手数料もその都度必要です。
「許可の有効期間の一本化」は、こうした余計な負担を減らすために行います。
具体的な手順としては「先に有効期間が満了する建設業許可に合わせて一本化する」方法と「業種追加のタイミングで一本化する」方法がありますが、特に後者の場合、すでに取得している許可の有効期間が30日以上(知事許可の場合)、もしくは6か月以上(大臣許可の場合)残っていることが必要です。
建設業許可更新の必要書類は、申請を行う都道府県ごとに多少異なります。ここでは東京都の例を参考に説明しますので、それ以外の地域については道府県のホームページ等で必ず確認するようにしてください。(参考:建設業許可 手引、申請書類等 | 東京都都市整備局)
建設業許可更新の必要書類には、あらかじめ様式(書式)が決められているものがあります。様式指定の書類には「様式第◯号」という通し番号が振られています。
様式番号 | 書類の名称 | 内容 |
---|---|---|
第1号 | 建設業許可申請書 | 許可申請(新規・更新を含む)の基本となる書類 |
別紙1 | 役員等の一覧表 | 事業主や役員の氏名・役職名を記載 |
別紙2(2) | 営業所一覧表(更新) | 営業所の名称と所在地を記載 |
別紙4 | 専任技術者一覧表 | 専任技術者の氏名と業種に対応した資格を記載 |
第4号 | 使用人数 | 営業所ごとに建設業に従事する役員、職員の数を記載 |
第6号 | 誓約書 | 申請者が欠格要件に該当しない旨を記載 |
第7号 | 常勤役員等証明書(経管用) | 経営業務の管理責任者(経管)に就任する役員についての情報を記載 |
第7号の2 | 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書 | 経管に就任する役員と、経管を直接補佐する者についての情報を記載 |
別紙 | 常勤役員等の略歴書 | 住所・氏名・職歴・賞罰などを記載 |
別紙2 | 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(必要に応じ) | ※直接補佐者を置く場合。住所・氏名・職歴・賞罰などを記載 |
第7号の3 | 健康保険等の加入状況 | 営業所ごとに健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を記載 |
第9号 | 実務経験証明書 | ※技術者要件の証明に必要な場合。証明者別に実務経験を記載 |
第10号 | 指導監督的実務経験証明書 | ※特定建設業の場合(監理技術者証で証明する場合は不要)証明者別に実務経験を記載 |
第11号 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 | ※支配人を置く場合と1号別紙2で「従たる営業所」を記入した場合。職名と氏名を記載 |
第12号 | 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書 | ※法人の場合は5%以上個人株主、顧問、相談役等を含む役員全員分 |
第13号 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 | ※支配人登記、または従たる営業所を設置した場合 |
第14号 | 株主(出資者)調書 | ※法人の場合。氏名・住所・出資額を記載。該当者が無い場合も作成 |
第20号 | 営業の沿革 | 創業以後の沿革、建設業登録と許可の状況、賞罰について記載 |
20号の2 | 所属建設業者団体 | 団体の名称と所属年月日を記載。所属団体がない場合も作成 |
20号の3 | 主要取引金融機関名 | 取引のある金融機関名を記載 |
書類の名称 | 内容 |
---|---|
技術者要件を証明する書類 | 専任技術者になる者の卒業証明書や資格認定証明書のコピーなど |
定款 | 会社保有の現行定款と同一内容のもの(議事録を含む) |
登記事項証明書 | 発行後3か月以内の「履歴事項全部証明書」(法務局で発行) |
登記されていないことの証明書 | 発行後3か月以内の「成年被後見人・被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書」(法務局で発行) |
身分証明書 | 発行後3か月以内の「破産者で復権を得ないもの等に該当しない旨の区市町村長の証明書」(市町村役場で発行) |
常勤役員等の確認資料 | 経営経験を証明する「請求書」や「注文書」など |
専任技術者の確認資料 | 実務経験を証明する「請求書」や「注文書」など |
建設業法施行令第3条に規定する使用人の確認資料 | ※様式第11号を提出した場合。使用人の住民票、健康保険被保険者証の写し、履歴事項全部証明書など |
営業所の確認資料 | 営業所の所在地案内図、営業所の写真 |
健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料 | 年金事務所又は健康保険組合、労働局又は労働保険事務組合が発行する保険料領収書のコピー |
法人番号を証明する資料 | ※法人番号が変わった場合。法人番号指定通知書のコピーか国税庁法人番号公表サイトの画面コピー |
役員等氏名一覧表 | 役員等の氏名・性別・生年月日を記載 |
建設業許可の更新申請は、知事許可・大臣許可や一般・特定の区別にかかわらず「一律5万円」の法定手数料が必要です。ただし複数の区分を同時に更新する場合、区分ごとに5万円の手数料がかかります。
また各種証明書(添付書類)の取得に「合計数千円程度」の実費、郵送で更新申請をする場合は送付と返送分の郵送料も必要です。
更新手続きを行政書士に依頼する場合は一般に5万円〜10万円程度の報酬が発生しますが、この金額は事務所によって異なります。依頼を検討しているなら、まずはそれぞれのホームページなどで比較検討してみてください。
建設業の更新申請には多くの書類が必要になるため、申請期限が近づいてきたら、十分前もって準備を始めるようにしましょう。もし業務が多忙で準備に手が回らないようなら、行政書士を上手に活用するのもお勧めです。