建設業を請け負う事業者は、原則として「建設業許可」を取得する必要があります。では工事を依頼する側は、相手が建設業許可を持っているかどうかを、どのように確認すれば良いのでしょうか?この記事では、誰でも簡単にできる「建設業許可の検索方法」について説明していきます。
建設業許可とは、名前の通り「建設業を営む」ために必要な許可です。建設業法第3条には、事業者の営業エリアに応じて国土交通大臣、もしくは都道府県知事の「許可を受けなければならない」と書かれています。
ですが「軽微な建設工事」を請け負う場合、建設業許可は必ずしも必要ありません。軽微な建設工事とは、具体的には以下に当てはまる工事のことです。
逆にいうと、上記に当てはまらない建設工事については建設業許可が必要です。ただし建設業許可には29もの種類があり、工事の内容によって必要な許可が分かれています。
建設工事を依頼する側は、相手が適切な種類の建設業許可を持っているかどうか、事前にしっかりと確認しなければなりません。
では、建設事業者が建設業許可を持っているか(どの種類の建設業許可を持っているか)は、どうやって調べれば良いのでしょうか?
以前から利用されているオーソドックスな方法は、「管轄の建設事務所で閲覧請求する」というものです。ただし閲覧請求には建設事務所まで足を運び、申請書を記入・提出するという手間がかかります。
一方、最近は建設業許可の有無や種類を「インターネットで検索する」方法も一般的です。わざわざ建設事務所に出向かなくても、自社のパソコンから必要な情報を見つけることができる、非常に便利な方法といえるでしょう。
ここでは建設業許可を検索できる、2種類のサイトを紹介します。
建設業許可の検索サービスとして最も有名なのは、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムというWEBサイトです。
このサイトでは、建設事業者をはじめとする12の事業者について、国のシステムに登録された情報を調べることができます。
建設業者・宅建業者等企業情報検索システムの強みは「情報の信頼性が高い」という点です。国土交通省という公の機関が運営しているため、掲載されている情報はきわめて正確と考えられるでしょう。
また建設業者・宅建業者等企業情報検索システムは毎月2回更新されるため、常に最新の情報を手に入れることができます。
Step1 トップページ(上の画像)で「建設業者」をクリックする
Step2 検索画面(下の画像)に検索条件を入力する
ちなみに検索条件には以下の6種類を指定できます。すべて入力しなくてもかまいません。
Step3 「検索」ボタンをクリックする
Step3までの操作で、検索条件に一致した事業者が以下のように一覧表示されます。「商号又は名称」の項目はリンクになっていて、クリックすると、その事業者が取得している許可の種類や許可を受けた日、有効期間を確認できます。
(所在地を「東京都」と指定した場合の例)
No. | 許可行政庁 | 許可番号 | 商号又は名称 | 代表者名 | 営業所名 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 第000000号 | ○○○○(株) | ○○○○ | 主たる営業所 | 東京都○○○○ |
2 | 東京都 | 第000000号 | (株)○○○○ | ○○○○ | 主たる営業所 | 東京都○○○○ |
なお検索条件によっては何百件、何千件と表示されてしまうため、効率よく探すためには、できるだけ検索条件を絞り込むようにしましょう。
ツクリンク株式会社が運営する「ツクリンク」も便利です。ツクリンクは建設業界のマッチングサイトで、さまざまな条件を指定して建設事業者を検索できます。
ツクリンクの強みは、1社あたりの情報量が豊富なことです。事業者の基本情報だけでなく、これまでの実績や会社からのメッセージ、現在募集している内容など、建設事業者を探している人に役立つ情報が掲載されています。
ただし、事業者の建設業許可番号を調べたり、建設業許可番号を指定して検索することはできません(建設業許可を持っている業者だけを検索することは可能です)。
Step1 トップページ(上の画像)の上にある「業者・ショップ」から「全国建設業者検索」をクリックする
Step2 検索画面(下の画像の左側)に検索条件を入力する
検索条件は以下の通りです。こちらもすべて入力する必要はありません。
Step3 「検索」ボタンをクリックする
Step3までの操作で、検索条件に一致した事業者が右側に表示されます。1件あたりの表示情報が多いため、検索条件を絞り込まないと少し見にくいかもしれません。検索結果の「詳しくみる」をクリックすると、さらに詳細な情報を確認できます。
建設業者・宅建業者等企業情報検索システムやツクリンクを利用すれば、建設業許可を持っている建設事業者を簡単に見つけられます。もちろん、自社や知り合いの会社が建設業許可を取得しているなら、その情報もこれらのサイトに掲載されている「はず」です。
ではもし、建設業許可を取得しているはずなのに情報が見つからない(検索結果に表示されない)としたら、どうすればよいのでしょうか?
まず考えられるのは、検索条件や検索キーワードが間違っている場合です。たとえば以下のようなケースが考えられます。
ついうっかりミスをするのは、誰にでもありうることです。いったん落ち着いて、初めから検索をやり直してみましょう。
そもそも建設業許可を取得していない、というケースもありえます。冒頭で説明した通り、「軽微な建設工事」を請け負う場合、建設業許可は必須ではありません。
つまり、建設事業を行っているからといって、必ずしも建設業許可を取得しているとは限らないということです。
建設業者・宅建業者等企業情報検索システムは「毎月2回」情報が更新されます。このため建設業許可を受けた直後なら、まだシステムに登録されていないケースも十分に考えられるでしょう。
このような場合は、数日〜2週間後にもう一度検索してみることをおすすめします。
建設業許可番号は、インターネットを利用することで簡単に検索できます。工事を依頼する事業者を探す場合や、一緒に工事を行うパートナーを探す場合は、ぜひ便利に活用してください!