単価契約とは?メリットや注意点、総価契約との違いについて解説

公共事業における契約方式は、支払金額の総額を決めて契約する「総価契約」が原則です。一方で、契約の際に総額ではなく単価だけを決めておき、支払金額は実績によって算出する「単価契約」という方式もあります。今回はその単価契約について解説していきます。

単価契約とは?

公共工事や維持管理業務を中心に利用されることがある単価契約。まずは単価契約の具体的な定義や、根拠となる法令、どのような契約で単価契約が利用されているかについて説明していきます。

単価契約の定義

単価契約は、一言でいえば「数量×単価=支払金額」という計算式で表される契約方式です。たとえば、道路の舗装工事において、「1平方メートルあたりのアスファルト舗装単価」をあらかじめ定めておき、実際に舗装した面積に応じて支払金額を算出します。

単価契約の主な特徴は以下の通りです。

  • 実際の進捗に基づいて費用が決定される
  • 工事量や作業量の変更に対応しやすい

このように単価契約では工事の進捗状況に合わせ、実際に使用した数量をベースに請求が行われるため、透明性が高く、無駄なコストが発生しにくいという特徴があります。また工事途中で設計変更や追加工事が発生した場合に、柔軟に対応できるのも大きな特徴です。

単価契約の根拠となる法令

単価契約は、国と自治体それぞれの入札案件で利用されています。その根拠となる法令は以下の通りです。

国の場合:予算決算及び会計令

(予定価格の決定方法)第80条 予定価格は、競争入札に付する事項の価格の総額について定めなければならない。ただし、一定期間継続してする製造、修理、加工、売買、供給、使用等の契約の場合においては、単価についてその予定価格を定めることができる。

自治体の場合:各自治体の規則(例:東京都契約事務規則

(予定価格の決定方法)第十三条 予定価格は、競争入札に付する事項の価格の総額について定めなければならない。ただし、一定期間継続してする製造、修理、加工、売買、供給、使用等の契約の場合においては、単価についてその予定価格を定めることができる。

単価契約が利用されるケース

単価契約は、工事量が事前に確定しにくい、あるいは変動する可能性が高い場合に適しています。たとえば以下のようなケースです。

  • 道路維持管理:路面清掃、道路巡回点検、道路維持、街灯保守、事業地管理
  • 河川管理:河川浚渫
  • 公園管理:公園維持、植栽維持
  • 緑地管理:街路樹診断
  • 冬季対策:除雪作業
  • 廃棄物処理:産業廃棄物処分
  • 調査:建物等調査、管路内調査

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単価契約のメリット・デメリット

単価契約は、柔軟性や透明性の高さなど、多くのメリットを持つ契約方式です。一方、単価契約ならではのデメリットも存在します。入札に参加する際はメリット・デメリットの両方を理解した上で、自社の事業にとって最適な選択を行うことが重要です。

単価契約のメリット

単価契約のメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

柔軟性が高い

単価契約は実際に使用した数量に基づいて支払いが行われるため、工事量が確定していない場合や、工事中に数量の変更が発生する可能性がある場合にも柔軟に対応できる方式です。

また単価契約は、突発的な変更や追加工事が必要となるケースでも有効です。

透明性が高い

単価契約では作業や材料ごとに単価が明確に定められているため、発注者と受注者の双方にとって費用内訳がわかりやすく、透明性が高い契約といえます。

また、実際に使用した材料や工事量を基に請求が行われるため、不正が行われるリスクが低く、公正で安心な取引が実現できるのも大きなメリットです。

単価契約のデメリット

一方で、単価契約には以下のような課題もあります。

総額が不確定

単価契約では、契約締結時点で総額が確定しません。このため最終的な工事費が予算を上回ってしまう可能性があり、発注者にとってリスクとなります。

管理コストの増加

工事の進捗や数量を正確に計測・記録する必要があるため、進捗管理や帳簿作業に時間やコストがかかる場合があります。これらは受発注者双方の負担となるため、工事管理システムの導入などにより、業務の効率化を図る必要があるでしょう。

単価契約と総価契約の違い

公共事業の入札では、原則として「総価契約」と呼ばれる契約方式が用いられます。ここでは総価契約の特徴に注目しつつ、単価契約との違いを見てみましょう。

総価契約の特徴

総価契約とは、工事全体の総額をあらかじめ取り決めて契約を締結する方式です。請負業者は原則として、契約時の金額で工事を完成させる義務を負います。

総価契約は契約時点で工事全体の費用が確定するため、発注者側にとって予算管理がしやすく、安心感があります。一方で請負業者側は、工事中に予期せぬ費用が発生した場合でも、原則として追加の請求はできません。そのため事前の見積もり精度が非常に重要です。

単価契約との比較

単価契約と総価契約の違いを表にまとめてみました。

単価契約総価契約
費用の算出方法単価×数量事前に総額を決定
メリット柔軟性が高い透明性が高いコスト管理がしやすい予算管理がしやすい計画が安定しやすい
デメリット総額が不確定管理コストが増加する可能性がある予期せぬ費用増加のリスク設計変更への対応が難しい

総価契約のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 予算が確定し、資金計画が立てやすい

工事着手前に総額が確定するため、発注者側は予算計画が立てやすく、資金調達もスムーズに行えます。

  • 工期や金額の明確な管理が可能で、計画が安定する

工事の全体像を把握しやすく、工期や予算の管理がしやすいというメリットがあります。

一方、デメリットは以下の通りです。

  • 計画段階での不確定要素が多い場合、受発注者双方にとってリスクが高くなる

工事前にすべての数量や費用を正確に見積もることが難しい場合、請負業者側は予期せぬ費用増加のリスクを負うことになります。また、発注者側も、当初の想定よりも費用が高額になる可能性があります。

  • 設計変更などで追加費用が発生しやすい

工事中に設計変更が発生した場合、当初の契約金額では対応できない可能性が高く、追加費用の発生や工期の延長につながる可能性があります。

まとめ

今回は単価契約を中心に、その特徴や総価契約との違いについて説明しました。

単価契約は「数量×単価」で費用を算出する契約方式で、工事量が不確定な場合や数量変更が多い場合に柔軟に対応できるというメリットがあります。一方の総価契約は、工事全体の総額をあらかじめ決めておく方式で、予算管理がしやすい点がメリットです。

どちらの契約方式にもメリット・デメリットがあり、最適な選択は工事の内容や規模、状況によって異なります。入札に参加する際はそれぞれの特性を理解し、自社にとって有利な契約方式か見極めることが必要です。

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