入札案件の発注者には、国や自治体(都道府県、市町村)、外郭団体などさまざまな種類があります。今回は「横浜市の入札制度」に注目して、入札案件の探し方や参加の手続きについて具体的に説明します。
横浜市の入札制度は、大きく分けて「工事」「物品・委託等」の2種類に分けられます。
このうち「工事」の入札は、原則として「ヨコハマ・入札のとびら」という独自のシステムを使った電子入札で行われます。
これに対し神奈川県や県内の他の市町村では「かながわ電子入札共同システム」という別の電子入札システムを使っているため、入札の際は混同しないよう注意が必要です。
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一方、「物品・委託等」の入札は「電子入札」と「紙の入札」が混在しています。具体的には財政局契約第二課案件・水道局・交通局・消防局の一部が発注する入札案件では「ヨコハマ・入札のとびら」から電子入札を行い、それ以外の区や局が発注する入札案件は横浜市ホームページの「入札・契約」で検索し、紙の入札を行うという具合です。
面積・人口とも神奈川県内ナンバーワンの横浜市には、非常に多くの入札案件があります。たとえば「(2021年2月の)1か月間」「電子入札」「一般競争入札」という条件で絞っても、これほどの入札案件が公告されています。
工事 (土木、港湾、電気、建築、舗装、造園など) | 物品 (什器・家具、工化学薬品、自動車部品など) | 委託 (道路・公園清掃、測量、廃棄物処理など) | |
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公示番号第23号 (2021年2月24日) | 44件 | 3件 | 46件 |
公示番号第20号 (2021年2月16日) | 133件 | 34件 | 190件 |
公示番号第16号 (2021年2月9日) | 54件 | 32件 | 208件 |
公示番号13号 (2021年2月2日) | 139件 | 73件 | 229件 |
2月合計 | 370件 | 142件 | 673件 |
ちなみに「公園」や「港湾施設」関係の入札案件が多いのは、いかにも横浜らしいといえそうです。
「ヨコハマ・入札のとびら」は横浜市が運用する独自の電子入札システムです。
「ヨコハマ・入札のとびら」のシステム要件は、電子入札システムを利用するかどうかで大きく変わります。もし電子入札を利用しなければ(入札案件の閲覧のみであれば)、必要な要件は以下の3点です。
これに対し電子入札システムを利用する場合は、「Windows10」か「Windows8.1」が動くPCが必要になります。それに加えて、以下のシステム要件も満たさなければなりません。
Windows10の場合 | Windows8.1の場合 | |
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ハードウェア | 本体(下記のソフトウェア(OS)がサポートしているPC/AT互換機(DOS/V)) | 本体(下記のソフトウェア(OS)がサポートしているPC/AT互換機(DOS/V)) |
CPU | Core Duo 1.6GHz 同等以上推奨 | Core Duo 1.6GHz 同等以上推奨 |
メモリ | (OSが32ビット版の場合)1.0GB以上推奨 (OSが64ビット版の場合)2.0GB以上推奨 | 1.0GB以上推奨 |
ハードディスク | 1ドライブに空き容量が1.0GB以上 | 1ドライブに空き容量が1.0GB以上 |
GPU | WDDM対応グラフィックプロセッサ (VRAM128MB 以上)推奨 | WDDM対応グラフィックプロセッサ (VRAM128MB 以上)推奨 |
CD-ROM装置 | CD-ROMドライブ(DVDドライブでも可) | CD-ROMドライブ(DVDドライブでも可) |
インターフェイス | ①USB接続のICカードリーダライタの場合 ・USBポート(USB規格 Ver.1.1以上に準拠)×1 ②シリアル接続のICカードリーダライタの場合 ・シリアルポート(D-sub9ピン)×1 ・マウス/テンキーポート(PS/2タイプミニDIN6ピン)×1 | ①USB接続のICカードリーダライタの場合 ・USBポート(USB規格 Ver.1.1以上に準拠)×1 ②シリアル接続のICカードリーダライタの場合 ・シリアルポート(D-sub9ピン)×1 ・マウス/テンキーポート(PS/2タイプミニDIN6ピン)×1 |
解像度 | 解像度1024×768ピクセル(XGA)以上 | 解像度1024×768ピクセル(XGA)以上 |
プリンタ | A4普通紙に印刷可能なプリンタ | A4普通紙に印刷可能なプリンタ |
ICカードリーダライタ | コアシステム対応認証局が指定したもの | コアシステム対応認証局が指定したもの |
OS | Windows 10(32bit版 もしくは 64bit版) 日本語版 | Windows 8.1(32bit版 もしくは 64bit版) 日本語版 |
ブラウザ | Internet Explorer 11(32bit版) ※Windows 10の64bit版については、Internet Explorer 11の32bit版のみ対応/Edgeには未対応 | Internet Explorer 11(32bit版) ※Windows 8.1の64bit版については、Internet Explorer 11の32bit版のみ対応 ※Windows 8.1をご利用の場合、必ずデスクトップ用Internet Explorerを利用すること |
ソフトウェア | Windows10準拠のOfficeソフト Windows Live メール 同等品 最新のウイルス定義ファイルが使用可能なウイルスチェックソフト | Microsoft Office 2010以上 Windows Live メール 同等品 最新のウイルス定義ファイルが使用可能なウイルスチェックソフト |
通信環境 | ISDN回線(64kbps)程度の帯域確保が必要 【推奨】:ADSL、光等の高速回線 | ISDN回線(64kbps)程度の帯域確保が必要 【推奨】:ADSL、光等の高速回線 |
通過が必要なプロトコル | HTTP、HTTPS(SSL)、SMTP、LDAP (ファイアーウォールを利用している場合、通過するように設定) | HTTP、HTTPS(SSL)、SMTP、LDAP (ファイアーウォールを利用している場合、通過するように設定) |
プロバイダ | 上記の接続方法、プロトコル通過を満たし、Eメールアドレスが取得可能なもの(携帯電話のEメールアドレスは使用不可) | 上記の接続方法、プロトコル通過を満たし、Eメールアドレスが取得可能なもの(携帯電話Eメールアドレスは使用不可) |
(ヨコハマ・入札のとびら「電子入札に必要な機器」より引用)
次に「横浜・入札のとびら」の画面について説明していきましょう。まずトップ画面はこのような表示になっています。
この中で特に重要なのは、次に挙げる5つのリンク(テキスト、ボタン)です。
① | お知らせ | 入札に関する最新情報の告知 |
② | 電子入札 | 利用者登録や電子入札のシステム |
③ | 資格審査申請 | 入札参加資格審査申請・申請内容の変更・JV登録などの案内 |
④ | 入札・契約情報 | 発注情報、入札結果、有資格者名簿等、入札や契約に関する情報の告知 |
⑤ | ダウンロード | 入札・契約に必要な各種様式やマニュアルのダウンロード用リンク集 |
なお「ヨコハマ・入札のとびら」には「紙入札」の情報は掲載されていないため、横浜市の入札案件をすべて調べたい場合は横浜市ホームページの「入札・契約」も確認してください。
入札案件を探す場合、まず「ヨコハマ・入札のとびら」のトップ画面から「入札・契約情報」のリンクボタンをクリックします。すると次のような画面に切り替わります。
ここからは、工事、物品・委託それぞれの発注情報や入札に参加できる「有資格者」の名簿、今年度の発注見通し、過去の入札・契約情報(工事は平成24年度〜、物品・委託は平成23年度〜)を検索できます。
上の「発注情報」のリンクをクリックすると、「発注情報検索」画面に切り替わります(工事も物品・委託もほぼ同じ内容です)。
この画面にある「発注情報検索(工事)画面へ」をクリックすると、入札情報の検索画面に移動します。「横浜市報調達公告版」をクリックすると入札公告の一覧画面に移動します。それぞれ順番に見ていきましょう。
ここでは「年度」や「契約担当局」「登録工種」「件名」などの条件を設定して、個別の入札案件を検索できます(令和3年現在、平成29年度まで遡れます)。上に挙げたのは工事の検索画面ですが、物品・委託もほとんど同じ構成です。
「発注情報検索」の検索画面はこちら
ここでは、平成16年度〜現在までの入札公告を見ることができます。それぞれの公告はHTML(WEBページ形式)やPDF形式になっているので、閲覧にはブラウザやPDF閲覧ソフトが必要です。
「横浜市報調達公告版」の画面はこちら
入札に参加したい場合は、「ヨコハマ・入札のとびら」のトップ画面から「電子入札」のリンクボタンをクリックします。
電子入札に関する「お知らせ」のリンクの下に「電子入札システムログイン」というボタンがあるので、ここをクリックしてシステムにログインします。
ログイン後の画面です。ここでは「電子入札」の手続きだけでなく、電子入札システムを利用するための「利用者登録」も行えます(それぞれの具体的な操作方法は「電子入札簡易マニュアル」をご覧ください)。
入札には入札参加資格が必要です。資格を申請する場合、まず「よこはま・入札のとびら」のトップページから「資格審査申請」のリンクボタンをクリックします。
入札参加資格申請には年度単位の「定期申請」と年度の途中からの「随時申請」がありますが、どちらもこの画面のリンクから手続きを行います。それぞれの手続きはリンク先に「手続きガイド」というマニュアルが用意されているので、そちらを参考にしてください。
今回は横浜市の入札をテーマに、入札案件の探し方から電子入札システムの画面の見方まで案内しました。横浜市に限らず、最近は国や他の自治体でも紙の入札から電子入札に切り替える動きが盛んです。これから横浜市の入札を検討している方は、ぜひこの記事を参考に電子入札にチャレンジしてみてください。