神奈川県の入札制度に関するわかりやすいまとめ。入札制度・参加資格・電子入札などを解説

全国第2位となる924万人の人口に加え、フィリピンやチリの国内総生産に匹敵する35兆7000億円もの経済規模を誇る神奈川県。この記事では、神奈川県(および神奈川県と同じ電子入札システムを利用する市町村)の入札制度について、初めての方にもわかりやすく解説していきます。

神奈川県の入札制度について

神奈川県の入札制度は一般競争入札や指名見積合わせが中心ですが、工事関係の入札については「かながわ方式」と呼ばれる独自ルールが採用されています。

かながわ方式とは、250万円を超える工事や工事系委託に適用される条件付き一般競争入札のことです。具体的には以下のような特徴が含まれます。

  1. 適正な競争のための環境づくりのため、工事施工箇所を中心とする地域の県内業者を優先し、ペナルティーを強化する
  2. 公共工事の品質確保のため、最低制限価格を設定する
  3. 県内中小建設業の健全育成のため、
    1. 「インセンティブ発注」県内に本店を有する優良工事施工業者や社会貢献企業を対象とする入札
    2. 「いのち貢献度指名競争入札」県民の「いのち」を守る担い手となる地域の建設業者を対象とする入札)を行う

ちなみに神奈川県、および神奈川県と同じ電子入札システムを利用する市町村では「電子入札」による入札参加が原則です。

入札情報の公開場所

神奈川県、および神奈川県と同じ電子入札システムを利用する市町村では、原則として「かながわ電子入札共同システム」の「入札情報サービスシステム」から入札情報を見ることができます(「かながわ電子入札共同システム」については、後ほど説明します)。

ただし教育局が外注する「神奈川県教育施設等工事入札業務」の入札情報については、外注先(令和3年度は「株式会社綜企画設計」と「株式会社タック都市開発研究所」)のホームページに掲載されるため注意が必要です。

どのような入札案件がある?

東京に隣接し、人口も経済規模も大規模な神奈川県では、さまざまな種類の入札案件が公募されています。参考までに「2021年(令和3年)6月」に開札される予定の「神奈川県の入札案件」数は以下の通りです(案件の数は年度や月によって大きく異なります)。

入札案件の種類電子入札紙入札
工事(土木一式、建築一式、水道施設、電気、機械器具設置など)83件1件
コンサル(測量、上水道及び工業用水道、森林土木、地質調査など)39件3件
物品・一般委託(物件の借入れ、計測機器類、自動車など)29件7件
合計151件11件

上記はあくまで神奈川県だけの入札案件ですが、「かながわ電子入札共同システム」にはこれ以外にも、28の市町村と神奈川県内広域水道企業団の入札案件が掲載されています。

神奈川県の電子入札システムに参加している自治体

神奈川県の電子入札システム「かながわ電子入札共同システム」に参加しているのは、以下の自治体・団体です(合計30団体)。

神奈川県神奈川県・神奈川県内広域水道企業団
横須賀三浦地区鎌倉市・逗子市・三浦市・葉山町
県央地区相模原市・厚木市・大和市・海老名市・座間市・綾瀬市・愛川町・清川村
湘南地区平塚市・藤沢市・茅ヶ崎市・秦野市・伊勢原市・寒川町・大磯町・二宮町
足柄上地区南足柄市・中井町・大井町・松田町・開成町
西湘地区小田原市・箱根町・湯河原町

これらの自治体や団体の入札公告は、ほぼすべて「かながわ電子入札共同システム」から検索可能です。入札公告の最終更新日はそれぞれの自治体・団体ごとに異なるため、情報を検索する際は以下のページも参考にしてください。

入札情報サービス:入札公告  最終更新日一覧(工事)

入札情報サービス:入札公告  最終更新日一覧(コンサル)

入札情報サービス:入札公告  最終更新日一覧(物品/一般委託)

神奈川県のシステムに参加していない自治体

神奈川県内の自治体で「かながわ電子入札共同システム」に参加していない自治体は、横浜市・川崎市・横須賀市・山北町・真鶴町の5市町です。

これらの自治体では、主に以下の方法で入札案件の公開と入札参加の受付を行っています。

横浜市電子入札による一般競争入札が中心
(入札案件の公開と入札参加は「ヨコハマ・入札のとびら」より)
川崎市電子入札による一般競争入札が中心
(入札案件の公開と入札参加は「入札情報かわさき」より)
横須賀市電子入札による一般競争入札が中心
(入札案件の公開は「入札の広場」と「横須賀市入札情報ポータルサイト」、
入札参加は「横須賀市入札情報ポータルサイト」より)
山北町指名競争入札が中心
(指名業者登録と入札結果の公開は、町ホームページの「契約・入札情報」より)
真鶴町指名競争入札が中心
(指名業者登録と入札結果の公開は、町ホームページの「管財係」より)

なお、横浜市の入札制度については『横浜市の入札制度のまとめ。神奈川県の入札との違いや参加資格・電子入札の利用方法も解説』で詳しく解説しています。入札への参加を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

「かながわ電子入札共同システム」について

「かながわ電子入札共同システム」には、次の3つの機能(システム)があります。

機能利用可能日時
資格申請システム・競争入札参加資格の申請
・変更手続、等
8:30〜20:00 土日・祝日・法に定める休日及び12月29日〜1月3日、3月31日を除く
電子入札システム・入札書の提出
・指名通知書や入札結果通知書の受領、等
入札情報サービスシステム・入札公告、結果の確認
・競争入札参加資格者名簿の閲覧、等
5:00〜4:00(翌日)
3月31日を除く

「かながわ電子入札共同システム」のシステム要件

「かながわ電子入札共同システム」の各機能を利用するためには、システムに対応したハードウェアやソフトウェアの準備・設定が必要です。

ただし以下に挙げる必要なシステム要件等は、今後変更される可能性もあります。詳しくは「かながわ電子入札共同システム」事前準備から直接ご確認ください。

①ハードウェア

パソコン本体(OS)Windows 8.1(Pro/無印) (32bit版/64bit版)
Windows 10(Pro/Home) (32bit版/64bit版)
インターフェースUSBポートに1つ以上の空きがあること。
ICカードリーダーに必要なインターフェースは、認証局にご確認ください。
画面解像度1024×768ドット(XGA)以上
ネットワークインターネットへの接続が必要です。
プリンタA4サイズ用紙を出力できること。(資格申請システムでの申請時に出力します。)

②ソフトウェア

OSWindows 8.1(Pro/無印) (32bit版/64bit版)
Windows 10(Pro/Home) TH2(32bit版/64bit版)
ブラウザInternet Explorer 11
※TLS1.2が有効であること
※Microsoft Edge非対応
PDFリーダーPDFを表示できること(Adobe Reader等)

③インターネットオプションの設定

1「TLS 1.2の使用」にチェックを入れる
2アドレス「https://*.e-kanagawa.lg.jp」を信頼済みサイトへ登録する
3アドレス「https://*.e-kanagawa.lg.jp」にポップアップを許可する(サードパーティ製のツールバーをインストールしている場合は、そちらも許可設定する)
4「ポップアップの発生時」の設定を「常に新しいウィンドウでポップアップを開く」にする
5拡張保護モードを無効にする

※電子入札システムを利用する場合は、さらにICカードの準備や利用者登録が必要です。詳しくは後ほど「電子入札で神奈川県の入札に参加するには」で説明します。

「かながわ電子入札共同システム」のトップ画面

「かながわ電子入札共同システム」のトップページは、以下のような画面になっています(縦に長いため、上半分のみ掲載しています)。

このトップページまでは上記の要件を満たさないパソコン(たとえばMacOSのパソコンや、Internet Explorer11以外のブラウザ)でも閲覧できますが、この先の画面、特に「資格申請システム」と「電子入札システム」には、要件を満たさない限り進むことができません。

ちなみに「入札情報サービスシステム」だけは、要件を満たさないパソコンでも閲覧できるケースがあるようです(ただし推奨されていません)。

画面のトップには利用上の注意や事前準備についての説明、マニュアルなどのリンクアイコンが並びます。ひときわ目立つ緑・青・オレンジのボタンは、メインとなる3つのシステムの入り口です。

画面の中ほどにはシステムに関する重要な「お知らせ」が掲載されているので、利用の前に目を通しておくと良いでしょう。

神奈川県の入札案件の探し方

トップページから「入札情報サービスシステム」のリンク(オレンジのボタン)をクリックすると、以下のような画面に変わります。

この画面に表示されているのは、「かながわ電子入札共同システム」に参加している30団体の名称です。それぞれの名称はリンクになっていて、クリックするとその団体の入札案件を過去にさかのぼって(平成24年まで)調べることができます。

たとえば「神奈川県」のリンクをクリックするとこのような画面に変わります。

さらに、左側にあるメニューから「(工事)の入札公告」をクリックすると次の画面に変わります。

この画面で入札区分で「電子入札」か「紙入札」かを選択し、年度を指定すれば入札案件の一覧を表示することができます。入札方式や工事内容、開札予定日などを指定して、情報を絞り込むこともできます。

工事・コンサル・物品を同時に閲覧することや業種を指定して抽出することが出来ないため不便ですが、入札ネットであれば1回の検索で情報を絞り込み必要な情報だけを確認することも可能です。 まずは、14日間無料でお試しいただけますので、ぜひご検討ください。

電子入札で神奈川県の入札に参加するには

電子入札で神奈川県の入札に参加するには、電子入札システム利用の事前準備として特別なハードウェアの準備や各種申し込みが必要です。

1. 電子証明書(ICカード)の取得認証局から電子入札コアシステムに対応するICカードを購入する(認証局についての情報は「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」を参照)。
ICカードの名義は代表者または受任者(入札権限を持つ人)で、経常建設共同企業体(経常JV)として入札に参加する場合は「代表者(経常JVの幹事会社)」の代表者または受任者の名義でICカードを取得する。
2. ICカード・コアシステム関連ソフトのセットアップ認証局のマニュアル等を参照して、ICカードの利用に必要な、ICカードリーダ、電子入札コアシステム関連ソフトなどをセットアップする。
3. 利用者登録電子入札システムにログインして、ICカードと利用者の情報を登録する「利用者登録」を行う( 操作方法は「電子入札システムマニュアル」の「利用者登録」を参照)。

必要な要件を満たしたら「資格申請システム」(緑のボタン)から入札資格の登録を行い、「電子入札システム」(青のボタン)から入札書の提出を行います。一連の操作については、「かながわ電子入札共同システム」のマニュアルもご覧ください。

まとめ

今回は神奈川県の入札制度について「かながわ電子入札共同システム」を中心に説明しました。神奈川県や県内市町村のほとんどは、入札制度を電子入札に切り替えています。これから神奈川県の入札を検討する方は、できるだけ早いうちに必要なハードウェア・ソフトウェアを揃えて準備するようにしましょう。

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