埼玉県と市町村の入札制度のまとめ。参加資格や電子入札の利用方法も解説

政令指定都市の「さいたま市」をはじめ、合計63の市町村がある埼玉県。それらの自治体が発注する入札について、入札案件の探し方から入札方法まで解説していきます。

埼玉県の入札制度について

埼玉県には県内63の市町村と4つの一部事務組合があり、(県自体も含め)それぞれ工事や物品調達などの発注を行っています。発注方法は国や他の自治体と同じく、一般競争入札や指名競争入札、指名見積合わせなどの方法が中心です。

入札は「電子入札」か「紙(による)入札」のいずれかで行われます。現時点では、工事の入札案件は原則すべて電子入札、物品調達などの入札案件は電子入札と紙入札が混在した状態です。

入札情報の公開場所

入札情報の見つけ方は2通りあります。

各自治体のホームページ

自治体のホームページには、電子入札・紙入札にかかわらず「すべての入札情報」が掲載されています。以下は掲載ページの一例です。

その他の自治体・一部自治組合にも同じようなページがあります。ホームページの中にある検索窓に「入札又は調達」と入力して、見つけてみてください。

埼玉県電子入札共同システム

埼玉県ホームページの中に設置されている「埼玉県電子入札共同システム(埼玉県電子入札総合案内トップページ )」にも、県や市町村の入札情報が集約されています。

ただし、ここに掲載されているのは電子入札に対応している入札案件だけです(電子入札の対応している自治体や入札の種類については後ほど説明します)。

どのような入札案件がある?

首都圏の一角を占め、人口も経済規模も国内上位の埼玉県。当然、県内にはさまざまな入札案件があります。ここでは参考までに、埼玉県とさいたま市の1か月間(2021年2月)の入札案件数をご紹介します。

入札案件の種類件数
建設工事(土木、建築、電気通信など)219件
設計・調査・測量(測量、建築関連コンサルタント、地質調査など)85件
土木施設維持管理(道路、河川、苑地、下水道)19件
物品等(販売・賃貸・買受け・印刷など)586件
合計909件

この他にも「63の市町村」や「4つの一部事務組合」が入札案件を公募しているため、埼玉県全体の入札案件は、数も種類も非常に多いことがわかるでしょう。

県内の市町村も同じ電子入札システムで入札可能

上で紹介した埼玉県の入札案件は、すべて「埼玉県電子入札共同システム」から検索したものです。このシステムには埼玉県だけでなく県内市町村の多くが参加していて、入札案件の検索・閲覧から電子入札まで一貫して行うことができます。

ただしすべての入札案件が電子入札に対応しているわけではありません。むしろ大半の市町村では「工事は電子入札・物品調達などは紙入札」という入札制度になっています。またごく少数ですが、すべての入札案件が紙入札(電子入札共同システムに参加していない)という自治体もあります。

電子入札の対応状況

工事等…電子入札
物品等…電子入札
埼玉県、上尾市、行田市、深谷市、富士見市、小鹿野町、三芳町、毛呂山町、寄居町
工事等…電子入札
物品等…対応準備中
北本市、久喜市、熊谷市、越谷市、白岡市、東松山市、ふじみ野市
工事等…電子入札
物品等…未対応
さいたま市、朝霞市、入間市、桶川市、春日部市、加須市、川口市、川越市、鴻巣市、坂戸市、幸手市、狭山市、志木市、草加市、秩父市、鶴ヶ島市、所沢市、戸田市、新座市、蓮田市、羽生市、飯能市、日高市、本庄市、三郷市、八潮市、吉川市、和光市、蕨市、伊奈町、小川町、神川町、上里町、川島町、杉戸町、ときがわ町、長瀞町、滑川町、鳩山町、松伏町、美里町、皆野町、宮代町、横瀬町、吉見町、嵐山町、越谷・松伏水道企業団、埼玉西部消防組合、秩父広域市町村圏組合、戸田競艇企業団
工事等…未対応
物品等…未対応
越生町、東秩父村

(埼玉県ホームページ「システム共同利用自治体 」のデータを加工)

なお、入札情報サービス「入札ネット+α」を使えば、電子入札に対応していない「工事」の入札案件も検索可能です。まずは、14日間無料でお試しいただけますので、ぜひご検討ください。

「埼玉県電子入札共同システム」について

埼玉県電子入札共同システムには、次の3つの機能(システム)があります。

機能利用可能日時利用条件
①入札情報公開システム・発注情報(入札公告・仕様書)の閲覧
・入札結果の閲覧
・発注見通し情報(工事等)の閲覧
・競争入札参加資格者名簿の閲覧
毎日
24時間
特になし
②競争入札参加資格申請受付システム・競争入札参加資格審査の申請
・競争入札参加資格審査結果通知書のダウンロード
・パスワードの変更・更新
毎日
8時30分~23時00分
ユーザIDとパスワード
③電子入札システム・電子入札の操作
・電子証明書(ICカード)の利用者登録
平日
8時30分~20時00分
競争入札参加資格と
電子証明書(ICカード)

「埼玉県電子入札共同システム」のシステム要件

3つの機能(システム)のうち、「入札情報公開システム」だけの利用(検索・閲覧のみ)であれば特別なシステムは必要はありません。少なくとも以下の3点が揃っていれば大丈夫です。

  • PC(タブレット端末でも可)
  • ブラウザ
  • PDF閲覧ソフト

一方「競争入札参加資格申請受付システム」や「電子入札システム」を利用する場合、以下のシステム要件が必要です(資格申請のみであればICリーダーとICリーダー用ソフトウェアは不要)。

パソコンのOSWindows 8.1またはWindows10
ブラウザInternet Explorer11(こちらのページを参考に設定を変更)
※Windows 8.1の場合「デスクトップ」のInternet Explorerを使用すること
ソフトウェア※ICカードを利用するためのソフトウェア
電子入札補助アプリ
接続環境インターネットに接続できる環境
※社内LANを経由して埼玉県電子入札共同システムを利用する場合は、
社内のファイアウォールがhttp、https、smtp、ldapの通信プロトコルの通過を許可していること
その他ICカードリーダー

※ICカードや電子入札補助アプリを利用するには、あらかじめ「認証事業者」と契約が必要です。

「埼玉県電子入札共同システム」のトップ画面

まずは「埼玉県電子入札共同システム」のトップ画面のポイントを紹介します(縦に長いため、重要な部分のみピックアップ)。

トップ画面の上にあるのは「お知らせ」です。特に、システムが丸一日使えない「メンテナンス」の予定は重要です。必ず確認しておきましょう。

次にページの中ほどにある「システム入口」です。入札情報の検索・閲覧、入札参加資格の申請、電子入札などは、すべてここにあるリンクから利用できます。

またシステム入口の下の方には、それぞれのシステムの「操作マニュアル」と、初めてシステムを利用する人(もしくは操作に不安がある人)のための「模擬入札」へのリンクがあります。それぞれ、必ず確認しておきましょう。

埼玉県の入札案件の探し方

入札案件を検索・閲覧できる「入札情報公開システム」のトップ画面です。

ここでは以下の情報を検索できます。

  1. 発注見通し情報(この先の予定)
  2. 発注情報(2016年〜現在までのもの)
  3. 指名競争入札案件情報
  4. オープンカウンタ(見積り)案件情報
  5. 入札・見積結果情報(2016年〜現在までのもの)
  6. 競争入札参加資格者情報

このうち③と④を利用できるのは入札参加資格者(ID登録をしている人)だけですが、それ以外の情報はだれでも検索・閲覧可能です。

検索する場合、まず「業務区分を選択してください」というメニューから「工事等」「物品等」のどちらかを選び、検索したい情報を指定します。

たとえば「工事等」の「発注情報」を選ぶとこのような画面になります。

ここでは「調達区分」(建設工事、設計・調査・測量、土木施設維持管理のいずれか)や「調達機関名」(自治体)、「業種」「日付」などの検索条件を指定します。

もし「埼玉県のすべての建設工事案件を見たい」なら、次のように設定すると良いでしょう。

  • 調達区分:建設工事
  • 調達機関名:埼玉県
  • 公開日(もしくは開札日):調べたい期間の始まりと終わりを入力

その他の項目は省略しても構いません。絞り込む必要があれば適宜指定してください。

電子入札で埼玉県の入札に参加するには

こちらは「電子入札システム(埼玉県電子入札共同システム)」のトップ画面です。

調達機関(自治体名)を指定したうえで「建設工事、設計・調査・測量、土木施設維持管理」か「物品等」のどちらかを選ぶと、次の画面が開きます。

ここでは「利用者登録」か「電子入札」のどちらかが行えます。はじめてシステムを利用する場合は、まず先に利用者登録を行いましょう(ICカードとICカードリーダーが必要)。

利用者登録と電子入札の詳しい方法については「操作マニュアル」で確認してください。

埼玉県の入札参加資格審査を申請するには

「競争入札参加資格申請受付システム」のトップ画面はこのようになっています。

非常にシンプルなページですが、画面左の「1.工事等」「2.物品等」のどちらかを選ぶと「競争入札参加資格申請受付メインページ」が開きます。

例として工事用のページを開きましたが、物品等も似たような構成です。「ログイン」すると参加資格の新規申請を行えます(この先の操作はマニュアルで確認してください)。

まとめ

今回は埼玉県の入札制度について、特に「埼玉県電子入札共同システム」の利用方法を中心に説明しました。電子入札システムの利用には対応機器やICカードが必要になるため、マニュアル等を参考に、できるだけ早いうちから準備するようにしましょう。

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