社会福祉施設の建設・整備に使える補助金とは?保育園・介護施設・障害者施設など施設運営者必見!

社会福祉法人の施設運営には多額の費用が必要です。このため十分な福祉サービスを提供するには、国からの補助金を上手に活用することが欠かせません。

今回の記事では社会福祉法人向けの「施設整備補助金」「融資制度」などについて、制度の概要や申請方法について説明します。

社会福祉法人向けの施設整備補助金

社会福祉法人が運営する施設は、老人福祉施設、障害者支援施設、保護施設、婦人保護施設、児童福祉施設などさまざまです。

これらの施設は福祉関連の法令等に基づいて整備されるため、整備の際には国や自治体からの補助を受けることができます。

社会福祉施設整備補助金の概要

「社会福祉施設整備補助金」とは、社会福祉法人の施設整備に必要な費用の一部を国や都道府県等が補助する制度です。

対象施設

社会福祉施設整備補助金の対象となるのは「社会福祉施設」です。

ここでいう社会福祉施設とは「お年寄り、子どもや障害のある方々に福祉サービスを提供する施設」のことで、利用者が自立してその能力を発揮できるよう、必要な日常生活の支援、技術の指導などを行うことを目的としています。

社会福祉施設整備補助金の対象となる社会福祉施設

保護施設救護施設、厚生施設、医療保護施設、授産施設、宿所提供施設等
児童福祉施設助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所・幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター等
障害者施設障害者厚生施設、障害者授産施設、生活施設、地域利用施設等
その他の施設社会事業授産施設等

補助金の割合

社会福祉施設整備補助金では、最大で施設の整備に要した費用の「3/4」が補助されます。たとえば1億円の出費に対して、最大7500万円の補助金を受け取れる計算です。

負担割合の内訳は以下の通りです。

都道府県・指定都市・中核市社会福祉法人
1/21/41/4

ちなみに費用の「1/4」は社会福祉法人の自己負担となりますが、この部分については独立行政法人福祉医療機構の融資制度を利用することができます(融資制度については後ほど説明します)。

社会福祉施設整備と補助金利用の流れ

社会福祉施設は法律に基づいて設置されるため、新築や改築といった施設整備の手続きは公共事業などに近い形で行われます。

ここでは補助金と融資制度を利用する場合の、おおまかな流れについて説明します(より細かい手順については各自治体の担当窓口に問い合わせてください)。

社会福祉法人側の手続き自治体側の手続き
①施設整備計画の立案
②関係機関との調整
③地元への説明
④自治体の担当部署との事前協議
⑤独立行政法人福祉医療機構への事前相談

⑥事前協議書の提出⑦民間社会福祉施設等整備審査会
⑧国庫補助協議 
⑨独立行政法人福祉医療機構への借入申請⑩国庫補助内示
⑪入札手続の開始〜工事請負契約の締結
⑫工事着工
⑬着工後工事検査
⑭補助金交付申請⑮補助金交付決定
⑯中間工事検査
⑰竣工検査 
⑱補助金確定 
⑲施設設置認可・指定申請
⑳工事実績報告 
㉑施設設置認可・指定 
㉒施設開設

上記⑪の通り社会福祉施設の整備には入札手続が必要です。入札公告の方法は社会福祉法人に任されていますが、入札公告を実施したことを自治体に証明するために「東京建設新聞」などの業界紙に掲載するのが必要とされています。

「東京建設新聞」をおすすめする理由

東京建設新聞は「入札ネット」の運営会社である建設データ株式会社が発行しており、掲載した入札情報は入札ネットにも連動されて登録されています。より広く多くの入札者を募りたい場合は、安価で掲載依頼ができるので、ぜひ東京建設新聞の利用を検討してみてください。 

掲載をご希望される方は、下記の掲載依頼申込書をFAX 03-3823-6601 、又はメール:info(アットマーク)kd-net.ne.jpにご送付ください。

掲載依頼申込書のダウンロードはこちらから>>

ご質問・ご相談はこちらからお問い合わせください>>

社会福祉法人向けの融資制度

社会福祉施設を整備する際の自己負担分(1/4)については、独立行政法人福祉医療機構の融資制度(福祉貸付事業)を利用できます。

福祉貸付事業の概要

福祉貸付事業は、民間社会福祉事業施設などの整備・充実を図るために、国の政策と連動して提供される社会福祉法人向けの支援制度です。

具体的には社会福祉施設整備補助金の自己負担分について「長期・固定・低利」の融資を行い、事業者の負担を軽減します。

対象施設・対象費用

融資の対象となる施設には、社会福祉施設整備補助金の対象施設が含まれます。

対象となる費用は「建築資金」(新築、改築、拡張、改造・修理、購入などの必要資金)や「設備備品整備資金」(機械器具、備品などの整備資金)、「土地取得資金」などです。

融資限度額と融資率

融資の限度額は以下の①と②で計算した金額のうち、いずれか低い額です。ちなみに施設整備費とは施設整備にかかった費用で、補助金はこのうちの3/4です。

①(基準事業費 − 補助金)× 融資率
② 担保評価額 × 70%

たとえば基準事業費が1億円、融資率が80%だとすると、①の金額は「(1億円 − 7500万円)× 80% = 2000万円」となります。

一方、担保(土地・建物)の評価額が3000万円なら②の金額も「3000万円」となるため、融資限度額は①と②の低い方、つまり①の「2000万円」です。

なお融資率は80%・75%・70%のいずれかで、融資の対象となる施設によって異なります。具体的には以下の表の通りです。

区分80%75%70%
高齢者福祉分野・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム
・ケアハウス
・小規模多機能型居宅介護事業所・認知症高齢者グループホーム
・複合型サービス福祉事業所  (看護小規模多機能型居宅介護事業所)
・老人デイサービスセンター  (生活支援ハウスを含む)
・老人短期入所施設
・老人介護支援センター

<代理貸付にかかる事業>
・小規模多機能型居宅介護事業所
・認知症高齢者グループホーム
・看護小規模多機能型居宅介護事業所
・老人デイサービスセンター  (生活支援ハウスを含む)
・老人短期入所施設
児童福祉分野
及び
母子・父子福祉分野
・保育所
・小規模保育事業
・幼保連携型認定こども園
・障害児入所施設
・障害児通所支援事業
・障害児相談支援事業
・児童心理治療施設
・児童自立生活援助事業
・乳児院(老朽整備事業)
・母子生活支援施設(老朽整備事業)
・児童養護施設(老朽整備事業)
・乳児院
・母子生活支援施設
・児童養護施設
・児童自立支援施設
・児童厚生施設(児童遊園を除く)
・児童家庭支援センター
・放課後児童健全育成事業
・子育て短期支援事業
・養育支援訪問事業
・地域子育て拠点事業
・一時預かり事業
・小規模住居型児童養育事業
・母子家庭等日常生活支援事業
・寡婦日常生活支援事業
・婦人保護施設
・母子・父子福祉センター
・母子・父子休養ホーム
・乳児家庭全戸訪問事業
障害者福祉分野・障害福祉サービス事業
・障害者支援施設
・一般相談支援事業
・特定相談支援事業
・移動支援事業
・地域活動支援センター
・福祉ホーム
・身体障害者生活訓練等事業
・手話通訳事業
・介助犬訓練事業
・聴導犬訓練事業
・視聴覚障害者情報提供施設 (点字出版施設を除く)
・身体障害者福祉センター
・補装具製作施設
・盲導犬訓練施設
・点字出版施設
生活保護・その他の分野・救護施設(老朽整備事業)・救護施設 
・更生施設
・授産施設
 ・宿所提供施設

・企業主導型保育事業
・認可を目指す認可外保育施設
・社会事業授産施設
・更生保護事業
・特定有料老人ホーム

独立行政法人福祉医療機構「2021年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」パンフレットより引用

貸付利率

貸付利率は定期的に改訂されますが、おおむね0.2%〜0.9%の範囲内です。最新の利率は独立行政法人福祉医療機構のサイトにある『金利情報』から確認できます。

利率は原則として「固定」です。ただし融資期間が長期間に及ぶ場合、10年ごとに利率を見直す方法を選ぶこともできます。

償還期間と据置期間

償還期間(融資期間)は、融資対象や資金の種類によって以下のように異なります。

貸付金額建築資金(耐火構造 ・準耐火構造)建築資金(耐火構造以外)設備備品整備資金土地取得資金
500万円以下5年以内5年以内5年以内5年以内
500万円超〜1000万円以下10年以内10年以内10年以内10年以内
1000万円超〜1500万円以下15年以内15年以内15年以内15年以内
1500万円超〜2000万円未満19年以内15年以内15年以内19年以内
2000万円〜20年以内15年以内15年以内20年以内
※特別養護老人ホーム、養護老人ホーム及びケアハウスの耐火構造の場合は「30年以内」・ユニット型特別養護老人ホームの準耐火構造の場合は「25年以内」

独立行政法人福祉医療機構「2021年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」パンフレットより一部抜粋

融資を利用する際は償還期間に応じて据置期間を設定しなければなりません。

償還期間5年以内5年超〜20年以内20年超〜30年以内
据置期間6か月〜1年以内6か月〜2年以内6か月〜3年以内

独立行政法人福祉医療機構「2021年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」パンフレットより一部抜粋

担保と保証人

融資を利用するには原則として「担保」が必要になります。この場合の担保とは「融資の対象となる施設、施設の建つ土地、土地の地上権」です。

一方、保証人については必ずしも必須ではありません。ただし保証人不要制度を利用する(保証人を立てない)場合は貸付利率に一定の利率が上乗せされるため、もし事情が許すなら「法人代表者等、個人の連帯保証人を1名以上」立てた方が良いでしょう。

申請の流れ

融資の流れは以下の手順で行います。すでに説明した「社会福祉施設整備と補助金利用の流れ」と合わせて確認してください。

1.融資相談

独立行政法人福祉医療機構の窓口で融資の相談をします。

  • 施設が東日本にある場合:福祉医療貸付部 福祉審査課 融資相談係 
  • 施設が西日本にある場合:大阪支店 福祉審査課 融資相談係

2.借入申込

工事請負契約を結ぶ1か月前を目安に「借入申込書」を提出します。この際、都道府県市等からの意見書があれば申込書に添付します。

3.借入申込受理

「借入申込受理票」が郵送されます。なお工事請負契約を結ぶのは受理票の到着後です。

4.融資審査

融資審査期間は、借入申込受理から1か月程度です。結果は郵送で通知されます。

5.貸付契約・資金交付

融資の承認後、貸付契約の締結、抵当権の設定手続きなどを行います。手続きに必要な期間は3か月程度です。

6.完成報告

融資対象事業完成後、おおむね3か月以内に「事業完成報告書」を提出します。

まとめ

今回は、社会福祉施設の整備に利用できる補助金と融資制度について説明しました。各種社会福祉施設の利用ニーズはますます増えているため、社会貢献や地域貢献を考えている事業者の方は、ぜひこの記事を参考に社会福祉事業への参入を検討してみてください。

建設事業者の方へ

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