「入札に参加しようとしたら、役所に『入札資格を備えてください』と言われた」
「気になる入札案件があるけれど、どこにどんな書式で申請したらいいかわからない」
「入札の電子申請をするには、なにを用意すればいい?」
このような疑問やお悩みを感じている方にとって、入札の参加資格や参加申請は「わからないことだらけ」に思えることでしょう。
今回の記事では一般的な入札の参加資格や審査の流れ、発注者ごとの入札参加方法などについて、わかりやすく説明していきます。
入札に参加するには、まず大前提として「入札参加資格」が必要です。入札参加資格とは文字通り入札に参加するための資格の総称で、発注機関(国や自治体など)ごと、あるいは案件ごとに設定された資格を満たした事業者だけが入札に参加し、案件を落札できます。
主な入札参加資格として挙げられるのは、官公庁が発注する物品や役務の入札に参加する「全省庁統一資格」や地方自治体ごとの参加資格、独立行政法人が設定している独自資格などです。こうした資格は入札公告や仕様書などに記載されるほか、発注機関のWEBサイトなどにも掲載されています。
国や自治体が入札参加資格を設定しているのは、公共事業の質を確保するためです。たとえば公共工事に参加したい事業者は、あらかじめ一定の資格や技術、実績、経営状態などを証明する書類を提出して審査を受け、入札参加資格者名簿に登録されている必要があります。
関連記事:『入札参加資格とは?種類や取得のための要件、等級についてわかりやすく解説します』
関連記事:『全省庁統一資格とは?取得すると何ができる?取得手順や等級も解説』
入札参加資格の申請方法は、国土交通省や都道府県、市町村、独立行政法人といった発注機関によって手順が異なります。このため入札を検討している事業者は、まずは発注機関ごと(案件ごと)に必要な参加資格をしっかり確認することが重要です。
また最近では、入札参加資格審査を電子申請で申し込むケースも増えています。以前はほとんどの発注機関で申請書の「持参」が求められていましたが、今では郵送やインターネット経由での提出が主流になりつつあります。
ただし電子申請に対応するにはパソコンやインターネット環境はもちろん、「電子証明書」や「ICカードリーダー」なども用意しなければなりません。こうした周辺機器については『入札参加資格審査の申請についてよくある質問』で説明します。
入札参加審査の流れは、おおまかに次の通りです。
具体的な申請の手順は発注機関のWEBサイトなどに掲載されています。
ここからは入札参加資格申請についての「よくある質問」にお答えします。
A:はい、入札に参加するには発注機関が指定する入札参加資格が必要です。
A:入札資格は原則として発注者ごとに異なります。ただし国(官公庁)や一部の独立行政法人では「全省庁統一資格」を共同利用しています。
A:申込期間を含む申請の手順は入札参加資格ごとに異なります。
A:発注機関(国や自治体)の指定する窓口に持参・郵送するか、インターネット経由で電子申請をします。発注機関の指定に従って申請を行ってください。
A:入札参加資格の取得に費用はかかりません。
A:入札参加資格の条件はさまざまです。必要条件を満たさなければ、入札参加資格を申請しても認められません。
A:発注機関によって異なるため、すべての入札参加資格に共通する基準はありません。ただし一般的には、事業者の持つ資格や実績、経営状態、本店や営業所の所在地などが挙げられます。
A:公共工事などの契約をするには「落札」が必要です。入札したからといって必ず落札できるとは限りません。
A:全省庁統一資格の有効期限は「3年間」です。自治体の入札参加資格は「1年8ヶ月」「2年」「3年」など、各自治体によって違います。
A:どのような案件を受注したいか(受注できるか)によって変わります。国の案件を受注したいなら全省庁統一資格、地域事業者が優遇される自治体の入札案件に参加したいなら、その自治体の入札参加資格を取得するといった具合です。自社の経営判断で入札参加資格を取得してください。
A:発注機関が同じでも、公共工事と物品・役務では入札参加資格が異なります。ちなみに全省庁統一資格は「物品の製造・販売等」についての入札参加資格です。
A:建設業許可の取得と経営事項審査の受審をしたうえで、入札参加資格申請を行います。建設業許可と経営事項審査については関連記事もご覧ください。
関連記事:『建設業許可とは?取得要件や種類、申請の流れなどを解説します』
関連記事:『経営事項審査(経審)とは?取得の流れから結果の見方、点数の仕組みまで解説』
A:公共工事の入札参加資格を取得するには建設業許可が必須のため、建設業以外の事業者は公共工事に入札できません。
A:必要条件を満たしていれば、ひとつの事業者が複数の入札参加資格を取得することは可能です。
A:申請書と必要書類を窓口に持参・郵送するか、インターネット経由で電子申請します。
持参・郵送する場合の手順は統一資格審査申請・調達情報検索サイトの「郵送・持参による申請」で、電子申請は統一資格審査申請・調達情報検索サイト「インターネットによる申請」から確認してください(電子申請は「調達ポータル」からも可能です)。
関連記事:『全省庁統一資格とは?取得すると何ができる?取得手順や等級も解説』
A:国土交通省の「定期競争参加資格審査(一元受付)」か、各機関独自の入札参加資格になります(令和3・4年度 定期競争参加資格審査の情報は「令和3・4年度 定期競争参加資格審査インターネット申請のご案内 – 国土交通省」から確認してください)。ちなみに国土交通省の資格で参加できる発注機関は次の通りです。
1.国土交通省大臣官房会計課所掌機関(大臣官房会計課、各地方運輸局、航空局、各地方航空局、気象庁、海上保安庁、運輸安全委員会、海難審判所及び国土技術政策総合研究所(横須賀庁舎)) 2.国土交通省地方整備局(「道路・河川・官庁営繕・公園関係」及び「港湾空港関係」)、大臣官房官庁営繕部及び国土技術政策総合研究所(横須賀庁舎を除く) 3.国土交通省北海道開発局 4.法務省 5.財務省財務局 6.文部科学省 7.厚生労働省 8.農林水産省大臣官房予算課、農林水産省地方農政局、林野庁 9.経済産業省 10.環境省 11.防衛省 12.最高裁判所 13.内閣府、内閣府沖縄総合事務局 14.東日本高速道路(株) 15.中日本高速道路(株) 16.西日本高速道路(株) 17.首都高速道路(株) 18.阪神高速道路(株) 19.本州四国連絡高速道路(株) 20.独立行政法人水資源機構 21.独立行政法人都市再生機構 22.日本下水道事業団 23.独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
A:各自治体のWEBサイト等に入札関連情報が掲載されています。以下の記事も参考にしてください。
A:はい、国と同様に分かれています。それぞれの必要条件や申請手順は各自治体のWEBサイト等で確認してください。
A:Windowsが動作するパソコンと指定のブラウザ、電子証明書、ICカードリーダーなどが必要です。パソコンの仕様や必要なソフトウェア類は発注機関ごとに多少異なるため、それぞれのWEBサイトで確認してください。
A:事業者やカード名義人の身分・住所などを証明するものです。
A:電子証明書はすべての発注機関で共通です。
A:自治体によって異なりますが、一般に公共工事の入札参加資格を取得するには電子証明書が必要です。ただし全省庁統一資格(物品の入札参加資格)の電子申請では電子証明書は必要ありません。
A:電子入札コアシステムに対応する民間認証局から購入します。民間認証局の一覧と連絡先は「電子入札コアシステム対応の民間認証局お問い合わせ一覧」をご覧ください。
A:民間認証局によって異なりますが、おおむね年間1万円程度です。
A:申し込みから発行まで1週間ほどかかります。
A:通常は代表取締役です。ただし入札や契約に関する権限を持った「支店長」や「支社長」なども名義人になることができます。一方で、単なる事務員や営業担当者などがカード名義人になることはできません。
A:1年〜5年の有効期限が設定されています。有効期限の切れた電子証明書で電子入札することはできないため、引き続き入札に参加する場合は新たに電子証明書を取得しなければなりません。
A:行政書士に依頼できます。ただしどの行政書士事務所でも入札参加資格申請を取り扱っているわけではないため、入札関連業務を専門にしている行政書士に依頼すると良いでしょう。
A:代行手数料(報酬)の相場は5万円〜10万円程度ですが、具体的な金額は行政書士事務所によって異なります。それぞれの事務所のWEBサイトに掲載されている料金表で確認するか、行政書士事務所に直接問い合わせてください。
入札参加資格にはさまざまな種類があり、申請方法も発注機関ごとに持参・郵送やインターネット経由での電子申請などが指定されています。これから入札参加資格を取得する方、特に電子申請を検討している方は電子証明書やパソコンなどを揃える必要があるため、この記事やこの記事で紹介した外部サイトなどを参考にして準備をするようにしましょう。